レントゲン投影

透 け て 視 え る も う ひ と つ の 世 界


読んだ本について思ったこと感じたことをあれこれと。

小説、ドキュメンタリー、専門書、ジャンルも何もなく、興味を持ったものを読んでます。



図書館記録   図書館で借りてきた本リスト。そのとき何を必要としたかの記録。




雑記というかどうでもいいことをこまごまと。
友達が「もののけ姫は薄紅天女(荻原規子)のパクリ!」と突然主張してきたので(何なんだ)、久し振りに勾玉三部作を読み直したら、やっぱり面白かった。個人的には白鳥異伝が一番好き。薄紅はいまいちインパクトがないというか感情移入にしくい。「風神秘抄」も気になってきたけど、リアル史実をからめてるというのはどうなんだろう。古代ファンタジーがいいなあ。あ、結局パクリ疑惑(…)は分かるような分からないような。平安後期と中世だけど、一種似た空気を持つ時代だから似てくるのかしらん。あと同じ和風ファンタジーなので仕方ないかなあ、とか。個人的にはもののけ姫のサンを見てると、あの獣みたいな敏捷性が福井晴敏作品の美少女工作員(ウルマ、ジョンヒ)を思い出させる…なんて云えやしないよ。
最近読んだのは「アキハバラ」(今野敏)。こういう展開になるとは思わなかった、因果関係があるようでめちゃくちゃな展開で面白い。「フクシノヒト」。生活保護ケースワーカーもの。意外とケースワーカーものって多いんですかね。話としてはまあケースワーカーってそうですよね…。誰か医療ソーシャルワーカーもの書いてくれないかしらん(他力本願)。(2006/05/20)


島本理生「ナラタージュ」
島本理生好きなので、小川洋子が帯かいてたので読んでみました。「生まれる森」のサイトウさんに惹かれる感覚は分かるけど、今回の先生は依存的というよりずるい感じがする。手帳に写真を入れているのまではまだいいとしてもそれを人に見せるとかもなあ…。思い出すだけで体中が千切れそうに痛い、往生際が悪くて未練がましくて弱々しいんだけど、どこか透徹した強い感情が生きてないというか…。もやもや。
この人の繊細で静謐で淡々とした描写が好きなんですが、今回はそれに頼ったというか発揮しすぎというか何かもうちょっと削ってもよかったのでは…とか思ったり。でもやっぱり描写は美しいなあ、陰鬱な湿った、でも胸が痛くなる景色の音、色、匂いとかすごくリアルでいいなあ。(2005/04/30)


篠田真由美「死神」
区役所の生活保護担当のケースワーカーの連作短編集。分かるような、あまりの「壮絶さ」に理解どころか想像も及ばないような…。人間って基本的には変わらない、と色んな意味で思った。だからこそ醜悪だし哀れだし、それぞれの物語を生きてる。

舞城王太郎「煙か土か食い物」
最初はくらくらするような饒舌な文章とハイテンション、あまりのバイオレンスさにどうしようかと思ったけど、でも引き込まれて一気に読んでしまった。理不尽でおかしな、ある意味狂ってる世界なんだけど、でもある一定の理論と理屈があって、それはすごくまっとうだったり。そしてだんだん見えてくるのはごくごく人間的で、ピュアな感情で。家族の絆の物語なんだなあ、と。怒涛のようにやってきて、最後に流れたのは心を洗うような涙で、すがすがしいラストだった。びっくり。絶賛オススメされてる理由がよくわかった…。(2005/04/01)


フォーサイス(篠原慎 訳)「マンハッタンの怪人」
「オペラ座の怪人」の「続編」。…思わず読んでしまったけど、果たして読んでよかったのか…こういう結末になって嬉しいんだか悲しいだかよく分からない…。あれだけ壮絶で悲しい話がこんな風に終わっていいものなのか、ハッピーエンドのようでいて実は結構そうじゃないところも多いし…。構成のせいか人物の心理というか動機がよく分からない部分があるので、余計そう思っちゃうのかな…。うーん。うーん。うーん。……。
スーザン・ケイの「ファントム」では号泣しましたです。(2005/01/22)


「かようびのごちそうはひきがえる」
子供の頃読んだ児童文学(絵本?)。子供心にかぶとむしなんだけど(笑)料理が本当においしそうで羨ましかった。そして孤独で偏屈で気難しいふくろうが戸惑いながらもぎこちなく心を開いていくところがすんごい好きでした。危険な目にあってまでひきがえるのためにネズの実取りに行って、ぼろぼろになって、でも恥ずかしそうに「友達にするなら…」の台詞を云うところでは涙が出そうに…。今読み返してみても泣きそうになる。ひきがえるが何かすんごいマイペースで特別な気負いとか恥ずかしさやためらいとかあんまり感じてなさそうだから、そこがすごく興味惹かれるところだし好ましいし、そういう相手に相対するのは何だか恥ずかしくて居心地悪くて面倒くさくも思うけど、でも近づいてみたい、好かれたらとても暖かくなるような幸福感が得られる、そういうふくろうの気持ちが分かるような気がする。(2004/10/17)


久坂部羊「廃用身」
怖い。思わず一気に読んでしまったけど、読んでる最中も肩や足の付け根がぞわぞわするようで、それが不吉でおぞましくて怖い。そして異様に罪悪感というか後ろ暗い気持ちにもなる。居心地悪いような、妙な罪悪感を覚えるのは、「Aケア」のことを否定しきれないし、肯定しきれないし、そういう危機感に目をそらしたいと思うからか。本当、異様なリアリティも、薄いヒフをピンセットで剥いでいくように見えてくる違和感、現実、仮想の恐怖、事実、そして結局いつまでも薄いヒフの下しか見えないような嫌な生々しさ。たまらなく怖くて居心地悪くて、グロテスクで、でもそういう風に思う自分が異常のような、偽善者のような気持ちになる。読後もいつまでもいつまでも落ち着かない気持ちになった。怖い…。(2004/09/27)


「ブラックジャックによろしく」
思い立ったので一気読み。医者の世界、医療業界の、独特で不条理でえげつない、ある意味人間くさい人間関係、俗っぽさ、非常識さ、というのはすでに色んなところでよく語られてますよね。えげつなさ、ぞっとするような人間性というなら「きりひと賛歌」がすごかったし、「白い巨塔」とかも凄惨というか何というか。まあとりあえず、ふーん大学病院もお医者先生も大変だなあ、という感じで読んでました。私が医者のおかしな個性(どう表現していいやら…)を身をもって嫌っていうほど体験している医療不信患者というのと、「長いものには巻かれといたほうがいいんじゃないかなあ?」という適当優柔不断性格なのとで(最低やん。笑)主人公が困ったちゃんにしか見えなかったり…。な、何だかなあ…。
でも患者側の感情や事情が多く書き込まれるようになった新生児病棟編、そしてがん医療編からは泣き出すのをこらえながら読んでました。特にがん医療編は読むのつらいほど。医療における希望がどれほど大切か、どれほど難しいか。病気というものがどれほど「苦しい」か(本人だけでなく、家族や周囲も苦しむという意味で)。患者が一番つらいとは云わないけど、こういう事情の前に、医者の事情なんて正直どうでもいい、まっとうな医療をしてくれることだけが望みだよ、と思うのは患者のエゴか、それともこれこそ日本の医療のおかしなところなのか。(2004/09/04)


片山恭一「世界の中心で、愛を叫ぶ」
最初の頃の読書日記で読みたい本に挙げてたけど、ようやく読みました。「夢のような話だなあ」というのが感想。色んな意味で。
泣くことは泣くけど(ていうか号泣しましたです)、それって「大切な人を失う」というシチュエーションに条件反射的に涙が出てしまうのでは…とか思ったりしないでも…。あと主人公カップルは友達いないんじゃあ…というのは野暮なツッコミですか。人生唯一の至高の究極の恋愛というのは確かに憧れなくはないですが、せっかくの高校時代、もっと色々あってもいいんじゃあ…というのは野暮なツッコミですか。ひねくれた大人でスイマセン…。これは色んなところで割と聞く感想ですが、ラストシーンはひとりでいたほうがよかった、というのは私もそう思う(妙なところでセンチメンタリスト…)。
(2003/01/05)


三木卓「路地」
透明な水の底に差す影のように死とか過去とかが常に近しく在って、けれど日々を生きている人たち。静かにほの暗く、けれど何処か親しくやすらかな空気が鎌倉という舞台にあっていると思う。死んだ婚約者の弟との話と、親子じゃないけど家族になる話が印象的だった。
(2003/12/05)


町沢静夫「絶望がやがて癒されるまで」
「自分が不幸かと問われたときに、幸福であると想像する力をあなたは持っている、それを行使しないだけなんだ。逆に不幸になるように想像してしまう。だから当然不幸になる。別に世の中は不幸でも幸福でもないんだよ、と。例えばあなたが交通事故にあおうと、宝くじにあたろうとそれをどう思うかはその人の自由。おてんとさんはちゃんと上がっているし、川は流れているし、ある意味で中立なんです。それを不幸とするか幸福とするかは、我々のそのときの想像力いかんにすぎないんです」
町沢さんのこの言葉には正直反発を覚えたし、そう云われて悔しかった。だって絶望するときってどんなに気持ちを強く持とうとしても逆にカラ回りしてしまうし、挫くようなタイミングで嫌なことが次から次へと起こって足元すくわれて叩かれるし。
だけど、確かに人間には究極的に生きる方向へ向かう力がある。それだから生きていける。生きる力、生きていこうとする力。自分で自分を幸福にする、力。それが誰のなかにもあるということ。町沢さんが云いたいのは多分これだと思う。すごいシンプルなことだけど、すごいこたえた。


□「裏切り者の細胞がんの正体」 ロバート・ワインバーグ

□「がんの痛みはとれる モルヒネの誤解をとく」 加賀谷肇・松本禎之

□頭痛についての本

□読書日記

□読書日記2

□読書日記3

□「彼女がくれたマウンド」 盛田幸妃・倫子

□フィールド・オブ・ドリームス


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