2003/02/28
韓国旅行 第二日目


目が覚めたら、目の前に見知らぬ女の人がしどけない浴衣姿で寝ていたのでびっくり…。
ペクス汗蒸幕(ハンジュンマク)で雑魚寝宿泊したんでした…。一瞬何が起きたのかと思ってしまいましたですよ。起きたら他にも同じような感じで寝ている人が何人も。不思議なところに泊まったなあ…(笑)。

お風呂にもう一度行って背中を見たら相変わらず呪いのような赤い鮮やかなあざがたくさんくっきりと。3、4日は消えないそうです。
肩は何だか軽くなったような感じがします。詰まってたものがなくなったような軽さ。さすが韓国エステ、効果が抜群だなあ。でも針(多分)で刺されたところは純粋に傷として痛いですけどね…(笑)。

さっぱりと外に出たら、夜雨が降った様子。曇りの湿った寒い空気。最寄のノヒョン駅から地下鉄で南部ターミナルへ。機械化されていないチケット売り場と屋台がひとつ屋根の下に並んで人もたくさんいてざわざわと賑やかに混んだバスターミナル。プヨ行きのバスのチケットを買って、バスが出発するまでの時間に屋台で朝食。

お店の人と客の間にどんと鉄板が置いてあって、そこでイカがあぶられていたり、煮物が煮られてたり。私達はトッポキというものを食べました。細長い形のやわらかいお餅をコチュジャンで炒めたもの。コチュジャンが赤くて色鮮やかで目を引かれる食べ物。お餅がやわらかくほのかに甘いけれど、コチュジャンは口が痛くなるほど辛くて、美味しいけど、最後には無言になってしまうほど(笑)。

ミネラルウォーターと玉子焼きパン(食パンに卵をかけて焼いたもの)を買って、プヨ行きのバスに。ちょっと古い感じの大きな観光バス。家族連れとかカップルとかたくさんいて、席はほぼ満席。ここからプヨまで約2時間のバスの旅。
でもパン食べたら眠ってしまいました(笑)。途中で何処かに止まったけど、看板も標識もハングルで読めないから、何処か分からなかったので、寝てました(笑)。

でもとりあえずプヨに無事到着!ひなびた、と云っては失礼かもしれませんが、でも本当にそういう雰囲気。いつか見たことがあるような、懐かしいような雰囲気。大和朝廷の時代から日本と関係があって影響を及ぼしてきた百済という国の都だった、という知識がなくても、何か懐かしい。独特の濃くてひなびた色彩、でも落ち着いた生活の匂いのする。言葉がまるでわからないハングルなのが逆に不思議な感じがしたり。

バスから降りて観光の前に、今日の宿探し。バス通りから横に入った路地。レストランが多く並ぶところ。温泉マークの看板が出ているのがホテル。最初はこんなところにこんなにたくさん温泉があるのか、と感心しちゃいましたですよ…(笑)。

色々見てみて、アリランホテルというところに宿決定。でも予約を入れてたわけではないので、その場で空き室確認と宿泊申し込みをしなくてはいけないのです、韓国語で!ガイドの後ろに載っているハングル会話集に載っていた「空き室はありますか?」「一泊お願いします」というのを暗記して喋る!というかなり無謀な方法で受付。
でもまあホテルなので相手もこちらの希望するところが大体分かってるのと、身振り手振りも交えて、一泊の宿を取りました。無事とれてよかった。どきどきしました…。

部屋は韓国伝統の暖房のあるオンドル部屋。リノリウムのようなフローリングの床に布団の入ったたんすとテレビと電話、鏡などが置いてあるだけの、やけに広々とした部屋(バストイレつき)。
でもオンドルのおかげで一見無機質な床から緩やかに心地よい暖かさが感じられて、うっとり。寒い異国の旅で思ってた以上に緊張してたのがほぐれて、そのまま床にだらっと寝そべって寝てしまいそうでした。オンドル、いいなあ。夜寝るのが楽しみ。でもとりあえず観光しにホテルを出発!

ホテルを出て最初に行ったのが、チョンリムサジ(定林寺址)。ホテルから歩いてすぐのところにあるんですが、百済時代に建造されたお寺の址で、ここから日本に仏教が伝わったそう。いわば日本の文化の原点みたいなところ。
でも百済滅亡時に破壊されてしまって、かつて大伽藍があったという場所も広々とした芝生。寒くて枯れているので何か余計がらんとして見えました。
ここが日本の仏教文化の発祥の地か…とがっくりのようなしみじみするような…。

奥に見える石塔は百済を滅ぼした将軍が記念に建てた物で、国宝だそうです。勇壮な、ある一方から見れば悲しい歴史の記念物ですが、古びた素朴な感じでした。古代という言葉が馴染む感じの。

石塔ともうひとつ残っているもの、石仏像。日本の大仏や仏像の原型といわれる。風雨と長い時間が過ぎたことを感じさせる石肌のやわらかさ。まるみ。気品があるけど、親しみやすい優しい表情で微笑んでいて、人の心に生まれるはじめの宗教のあたたかみ、大切さみたいなものを感じました。

百済の最後の城であった山、プソサン(扶蘇山)へ。山をめぐる遊歩道を歩いて百済の遺跡を辿るハイキングのような観光のような。3月とはいえ、まだ寒く、木々も枯れた葉を落としたまま。枯れた静かな、水墨画のような山の中をのんびり歩いていきました。韓国の人も観光というか散策で結構来ていて、たまにハングルで道を聞かれてしまったり。「ごめんなさい、わかりません」というハングルを覚えていたはずなのに、咄嗟にはあいまいな笑顔で首を横に振るしか出来ない自分…。うーん、こういうところが日本人だなあ…(単に私の反応が鈍いだけじゃあ…)。

百済を最後まで守った将軍を祀った建物や百済の王様が宴会を催したところとかの建物は、派手ではない落ち着いた感じの、でも目に鮮やかで美しい色使い。意匠に何となく中国っぽさを感じたり、ああこれは日本に伝わったところなのかな、と思う部分があったり。

「くだらない」という言葉は、「百済ない」つまり「百済のものではない」という語源だそうですが(ガイドで読んだ話ですが)、何かそういうのがわかるような気がしました。異国の、違う文化の匂いがして、それは高貴で自分達とは違うから心惹かれるけど、一方で既視感というか親しみを覚えるような懐かしさ、見知った肌触りがあるところが。生まれ、発展してきた文化の、ひとつの源をみたような気がしました。

3月になったばかり、まだ冬の寒さ。雨の後の薄曇り。でも百済の王様が月を眺めたという楼閣からはほのかに明るくプヨの街が見下ろせました。

そこからさらに遊歩道を緩やかに、でも大きく上がって下がって、歩いて歩いて、山の頂上にある落花岩へ到着。断崖絶壁の上にあるあずまや。はるか下に白馬江が見下ろせて、本当に水墨画のような景色でした。切り立った岩の感じ、風雨のなか枝を伸ばしたという風格のある松の枝。枯れてくすんだ色合い。寒い冷たい空気。広く緩やかな河の流れ。

百済滅亡時にはここから百済の女官が身を投げたそうです…。何処か寂しい厳しい色合いの景色、恐ろしいほど下に見える河を見下ろしたら、怖いような悲しいような気持ちになりました。今は遠い歴史の出来事とはいえ痛切な気持ちになります。

緩やかで広い平らかな、でも本当はすごい力を持っているだろうことが感じらる河、これは日本史の教科書で習った「白村江の戦い」の場だったそうです。唐・新羅連合軍に攻められた百済を助けるために大和朝廷が援軍を出し、しかし大敗して、百済が滅亡、大和朝廷は外交から手を引いたという歴史の一場面。時代も今からすごく前の、教科書のなかでしか知らなかった場所に自分が実際訪れているのがすごく感慨深い。

かつて日本から来た僧が修行を行った場所でもあるこの場所。時代を経て、またこうして日本人の私が訪れているということが、当たり前のようですごい歴史の結果のような、不思議な気持ちでいっぱいです。
とにもかくにも、私がこうしてここにいて感じられるという歴史と文化に対して感謝というか尊敬というか、胸がいっぱいになりました。

河のほとりに見えている小さな白いものが遊覧船。この断崖絶壁を降りて船に乗って、今度は河の上から断崖を見上げました。
学校で習ったあの「白村江の戦い」がここなんだなあ、と何度も繰り返し感慨にふけってしまいますです。教科書でも結構重要事項で何度も名前を見た覚えがあるので。もしかしたら韓国の人よりも日本の学生(受験生)のほうが「白村江」への思いいれは強いかもしれない、とか思ったり(そんなにも…。笑)

波も流れも見ている分にはわからない広い河から見上げるとますます高く厳しい絶壁。遠くに見える向こう岸の陸地がなだらかなので、余計に際立って迫ってくる感じでした。

寒かったけれど、ずっとデッキの上で柵にもたれて、ぼーっと河を眺めてました。穏やかな、でも確かにずっとずっと流れて、色んなものを運んだり沈めたりしている河。その深さは一体どのくらいなんだろう。

20分ほどの船旅のあと、船着き場の近くにある、有名なうなぎ料理のお店に行きました。ようやくお昼(っていうか早めの夕食?)。
一見何だか普通のおうちっぽいお店。たどたどしいハングルで「食事をしたい」と云ったら、中庭に望んだ部屋の一室に通されました。オンドル式の4畳ほどの、でもテーブルも何も置いてない部屋。もしかして宿泊客と間違えられた…?でもここ食堂だし…とどきどきしてたら、お店の人がメニューを持ってきました。言葉が通じないとこういうところまでいちいちどきどきの大冒険になってしまいますねえ(笑)。

プヨ名物であり、このお店のおすすめでもある焼きうなぎを注文。うなぎは「ジャンオ」と云うそう。あとビールも(笑)。歩き詰めだったけど、ようやくのんびりゆっくり休めるねえ、それにしてもテーブルがなくていいんだろうか…とか思ってたら、来ました。お店の人が二人がかりでテーブルを持ってきました!すでに料理が写真のように並んでいるテーブルを!

テーブルを持ってきてそこに料理を運んできて載せるのかと思ってたら、料理が載ってるテーブルを運んでくるとは…びっくり。そしてテーブルに載ってる料理というのはあくまで焼きうなぎのつけあわせの、いわばお通しみたいなものなのに、この量。ごま豆腐にコチュジャン、甘く煮たさつまいも、水キムチ、山菜。茹でた野菜に甘辛いお味噌のようなものをつけて食べるものとか。日本の漬物みたいなものもあったり。うーん…韓国の食事って豪華…。

そして次にやってきたのがメインの焼きうなぎ!(ばーん)。何故か亀の形の鉄板の上に載せられてやってきた焼きうなぎ。熱い鉄板(しかし亀形)の上香ばしく焼かれてます。にんにくがたくさんついてて、食欲をそそるにおいが。しかもうなぎとにんにくってすごく元気が出そう(笑)。

やわらかく味わい深い焼きうなぎ。濃くはないけど、うなぎそのものの滋養深い味わいににんにくが効いて食が進みます。うなぎのしたにはカリカリに焼いたうなぎの骨があったりして、それがまたいい感じの歯ごたえで美味しかった。うなぎといったら「蒲焼」って思ってましたが、にんにくと一緒に焼く、というのも素朴で美味しい。河で取れた新鮮なうなぎを食べてるという感じ。満足。

食べ終わって、暖かいオンドル部屋、満腹で重い暖かい体。壁にもたれて(オンドル部屋はイスがないので、床に直座り)うとうとしそうになってしまいましたですよ。何かもうこのままここでまったり過ごしたい…と思ったり…。
でも行く。次は国立扶余博物館へ。百済時代を中心に先史時代から高麗時代までの遺物を展示しているという博物館。10年前に建て直されたということですが、近代的な感じのする綺麗な建物でした。

これが入り口。ここに来るまで門から駐車場、階段と広場っぽいスペースがあったんですが、そこかしこに石の五重塔とか亀の像とかがありました。ていうか五重塔は本当にやたら見かけた気が…。百済の人は五重塔が好きだったんだな…と変な感心をしそうになってしまいましたですよ…。

これは亀の像。結構いやかなり大きいです。大人がうずくまったより大きいのでは。それにしてもこの亀…歯があるけど、爪もあるけど、亀…。可愛いやら怖いやら可笑しいやら(笑)。

展示物。土器とか武器、仏像、瓦など、歴史の教科書で見た覚えのあるものが並んでいるので興味深かったです。教科書で名前はよく知っていた百済という国、文化は本当に飛鳥・白鳳文化の源というか母体だったんだなあ、ここからやってきたんだなあ…と何だか深い溜息が出そうでした。

「文化が伝わる」、言葉も風土も違う国をまたがって、文化というある概念のようなもの(振り返ればくっきりと区別して定義づけられるけど)が動いて、根付いてそれぞれに花を咲かせて成長し、そして衰退するという、本当に掴み所のない事象。だけどそれはは本当に確かにあったんだなあ…。
まるっきり同じじゃない、それぞれ違う面があって、だけど、確かにひとつの流れを感じる。属する、という意味が感覚としてわかるような気がする。

といっても、展示物の説明はハングルと英語で、私は英語のほうをおぼつかなく拾い読みしてただけなので、きちんとした歴史的意義を理解してないかもしれませんが(だめじゃん!)。

ふと気づくと閉館時間の5時近く。展示を見ながら歩く私たちの後ろを博物館のスタッフがついてきてました。私たちが最後の客ですか…。「ゆっくり見てていいよ」と英語と身振りで云ってくれてるけど、でもプレッシャーを感じないでも…。いやでもまだ5時まで余裕で時間あるはず…と思いつつ、押し流されるようにお土産コーナーを抜け、出口を出たらその瞬間背後でばたーん!とドアが閉まり閉館…。ま、まだ5時前なのに…。何となくそそくさ駐車場を抜けて敷地から出ようとしたら門が閉まってる…!は、早っ!ていうか早く帰って欲しいなら門くらい開けておいてよ…。
しょうがないので夕闇で薄暗い中、駐車場の門をよじのぼって出てきましたですよ。入館料払って時間内に見学したただの観光客なのに何故こんな目に…(笑)。

出たら、そこに雑貨屋さんというか何でもやさんみたいなお店屋さん。日用雑貨とお菓子類ジュース、お酒なんかも売ってる、日本でも見かける感じの。そこでプヨ産のマッコリ「白馬江(ペンマガン)マッコリ」を発見したので、買って旅館で飲むことに。市内バスターミナルのあたりに戻って、プソサン観光の人たちがよく持ってた(食べ歩きしてた)おせんべいのようなものと、ビールとか飲み物を色々買って旅館に帰りました。

左のがおせんべいみたいなもの。駄菓子屋さんで売ってるミルクせんべいの甘くないやつみたい。ふすふす軽い食感。写真の3倍は袋に入ってました。飽きそうで飽きないので、甘い酸味のあるマッコリのつまみとして最適。もりもり食べてしまいました。真ん中がペンマガンマッコリ。ラベルの絵が白馬江らしいです。相変わらずほのかに甘く酸味があって、こっくりと美味しい。アルコール度数は低いけど、その分くいくい飲めるので結構いい感じに酔っ払えていいです。いい気持ち。右は韓国ビール。韓国のビールというとOBビールを思い出しますが、旅行中飲んだビールはCASS(今日のお昼に飲んだ)とこのHiteでした。淡麗すっきりな味で飲みやすくて美味しかった。料理にあわせてビールも濃い辛口なのかと思ってましたけど。

テレビを見ながら(といってもハングルなのでどういう番組なのか全然わからないのですが)オンドル部屋でだらだらくつろいで飲んでました。背中にくっきり残っているエステのアザ(呪いのアザ風…。笑)を写真に撮ったりとか。暖かく、寝そうに気持ちいいけど、楽しくて異様に盛り上がってました。修学旅行の夜のようでした(笑)。

布団の刺繍。色鮮やかな、可愛い模様。

こころもとないような薄さの布団ですが、実際敷いて寝ると、オンドルの暖かさがじんわりぬくぬく伝わってきて、暖かいやわらかい軽い布団にくるまってるような幸福感がありました。ぬくぬく。

そんなこんなで二日目でした。明日は最終日。ソウル市内観光の予定です。


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