1月10日

出雲・松江へ旅行に行ってきました。一人旅。
羽田から飛行機で1時間ちょっと、出雲空港に着いたら、雪が降ってました。雪というか霙のような、からから、ぱらぱらと珠のような音を立てて風に乗って降り落ちてくる。寒い。もう予想してた以上に寒い。

出雲空港から出雲大社へ向かうバスから。薄暗く、でも晴れ間も見えたりして、不思議な景色。
ここが神様が集まる国、「根の国」と呼ばれる黄泉に一番近い国なんだなあ…。

まずは出雲大社。朝早い飛行機だったので、出雲空港からバスで移動してもまだ11時前だったりします。なので人気もあまりなく、しんしんと冷えて静か。まさに厳粛。

ここからずっと長い参道。真っ直ぐな道。

気が急くような、身が引き締まるような気持ちになりつつ進んでついに見えた本殿。山の懐に抱かれて、千木が高くそびえていて、冷え切った空気とあいまって、ああまさに神域だと全身で感じました。神社の原点というか原型がこれなんだな、日本の神様は本当はこういうところにいるんだな。

しかしここに映っている注連縄が有名な出雲大社の大注連縄だと思ってた私。意外と小さいじゃん、観光写真マジックだな、とか思ってました…(すいません)。拝殿ですよね(…)。

両手の指を真っ直ぐにしたまま組んだ形が「宮」の手話(「宮本」とか名前で使ったり)で神社の千木の形が起源というんですが、ああ!なるほど!とものすごく納得しましたです。

拝殿で参拝してから、さらに奥に進んで大国主命をまつっている本殿へ。
国譲りの神話の大社、八百万の神様が集まって縁結びの相談をしたり宴会をしたりする場所。そう思うと、何だかすごく楽しいような厳粛なような、不思議な気持ちになりますです。

そしてものすごく熱心に縁結び祈願をする私(この旅行の結構重要な目的のひとつ。笑)。大国主命に祈りつつ、日本中の神様にも祈ってるような気持ちになったり(ずうずうしいですか。笑)。

私は10月生まれで、「神様のいない」という「神無月」と云われてて何か寂しいような気がしてたけど、でもここに神様が集まってて、だからここでは10月が「神在月」と云われているんですよね。大らかなのびやかな古代神話の神様の様子を思い出して、何だか心が温まるような気持ち。

おみくじを引いたら、何だかとっても良さそうな結果が出たのでとっても嬉しい。「正直にして、曲がった心なくば」が前提ですけどね(励め私)。「愈々働き甲斐のある年になります」というのも嬉しい。

しかしこのおみくじを結ぶところがなかなかない。境内にある木の手の届くところは本当にびっしりおみくじが結わいつけてあるんですよ。遠めに見ると真っ白に雪が積もっているように見える。人の祈りや願いが雪みたいに真っ白になるほど集まってるんだな、と思うと、何だか思わずぼうっと立ちすくんでしまうような心地になったり。

ここにあるのは何だか宗教心とか信仰心というよりもっと素朴というか原点な感じがする。いや私が詳しくないだけで単なる日本神道というだけでなく、もっと複雑で色々な宗教や宗派があるんでしょうけれども、何か何となく日本の「神様」、日本人が漠然と単純に素朴に心に思い描く「神様」はここに原点があるような気がしました。

おみくじの後はえんむすびのお守りを買って(本気!笑)本殿から横にそれて、神楽殿へ。ここが有名な注連縄の場所なんですよね。

まさにどーん!注連縄だぞ!どうだ!という圧倒感。何も云えない…。

近くに寄ってみる。とてもじゃないけど手も届かない。真下に入るとこの頭の上に広がる圧迫感というか存在感は何だ?という感じ…。すごすぎる。なんだってこんなでかい注連縄…。

ちょっと離れて内側から。でけえ…。

この注連縄に硬貨を投げて、それが刺さると縁起がいいというので私も投げてみる。が、届いても刺さらない。硬貨を縦にしたまま真っ直ぐに鋭く勢いよく投げなくてはいけないのも難しいし、うまくいってもそうそうすぽっと入るわけでなく。あんまり勢いよく投げるとその勢いで硬貨が跳ね返ってくるので怖い、ていうか危険(一度思いっきり足元に硬貨が突き刺さる勢いで飛んで超ビビった。笑)。最後のほうは注連縄の上のほうとかに載せようと思ったけど、それだってすごく難しいという。ぬー。

振り返ってみてもでけえ…。でも何かこのスケールのでかさが神様ならではって気がしてきて、何か楽しいような気持ちになってきたり。

お神酒を頂いて、近くのお土産屋さんを眺めて歩いてみたり。ヒスイ細工が多くて、心惹かれる。勾玉って何か好き。でもとりあえず買ったのは出雲大社限定の「縁結び餅」とかだったり。出雲大社で乙女が願うことはひとつ(笑)。

そしてお昼。出雲名物・出雲そば!出雲そばは玄そば(そばの殻つき)の挽きぐるみのそば粉を使っているので全体的に黒っぽい。

そして割子そばといって三段の丸い漆器に盛られているそばに好みの量の薬味とそばつゆをかけて食べる。三段に分かれてるけど、量はこれで一人前です。

出雲そばは素朴な、でもそば本来の味わいとか香りがすごくあるそば。ああそば食べてるなあ…という気持ちでいっぱいになって何かすごい満足感。旅はやはり食だなあと幸せいっぱいになる私。

松江方面に行く1時間1本の電車にちょうど間に合いそうだったので、駆け足だったけど出雲大社出発することに。

松江しんじ湖温泉へ行くのは一畑電鉄というローカル線。単線で宍道湖に沿うように走っている電車。普通に街の中、家の隣に線路があって面白い。

出雲大社駅も駅舎前にロータリーがあるわけでも、改札口が正面に目立って開かれているわけでもなく、本当に普通に通りに並んでる建物みたいなので一回思いっきり通り過ぎてしまいましたですよ(笑)。
集札口が何か可愛い。下がホームの様子。左手は急行。右手の各停に乗っていきます。

ローカル線って感じでいいなあ!

松江しんじ湖温泉駅まで1時間の旅です。途中川跡で乗り換え。「美談」って面白い名前だなあ。

乗り換えの川跡駅のホーム。線路に雪が積もってる。

家のすぐ側を、刈られて枯れた後の田んぼの中を、単調に淡々と進む電車。小さな駅。小さな電車。ぼんやり眺めているうちにいつのまにか寝てて(…)気付いたときには宍道湖が窓の外に見える終点間近。

道路と湖と平行して電車は走る。曇りで空も湖面も灰色で、だけど、光が差して明るいところがある。ちょっと前まで夢も見ないほど、音も聞こえないほど眠ってたのに、何か一瞬でその眠気を忘れた。

ガラス張りの新しくて綺麗な松江しんじ湖温泉駅。駅前はバスロータリー。無料の足湯もあるので試してみたい。とりあえずホテルに向かう。しんじ湖から風が吹いてきて、髪もぼうぼうになり、本当にとってもものすごく寒くて無言になってしまう心境(一人だから喋ってないけどさ)。でも広い宍道湖、風であおられて波も立っていてまるで海のよう。銀色鼠色灰色の色合いなのに、上空のところどころに雲の切れ間があって光が差してて、人なんて別にいてもいなくても変わらないように思えてくる光景で、海のような海と屏風のような遠い山並とかは神様が水浴びしてた頃と変わってなさそうな気がしてくる。

ホテルに荷物を預けて(8階で湖が見える部屋だった。やった!)バスで松江駅へ。松江駅へはバスで20分くらい。地図で見ると歩けそうな気がしたけど、ちょっと無理ぽい。でも100円で乗れる観光用バスが10分間隔くらいで走っているので便利。

松江駅でつい思わず駅弁を買ってしまう私。文化は食にあり、旅は食なりが私の信条なのですよ。旅では行く先々で名物を食べなくては、という使命感に燃えてます(いばるな)。
本当は七珍(宍道湖で取れるしじみとかうなぎとかえびとか)がおかずになった「七珍物語」が欲しかったけど、売り切れてたので、「出雲おくにのかしわめし」をゲット。100%島根の食材というのが文化学習にいいじゃないということで(何が)。
松江駅から八重垣神社に向かうバスのなかで駅弁を食べる私…(笑)。

鶏とにんじん、しいたけなどの煮物がごはんの上にのってるお弁当で、ごはんは出雲地方のコシヒカリ、鶏は大原郡加茂町、にんじんごぼう、絹さやは松江市、たけのこは安来市、椎茸は八束郡島根町、漬物は飯石郡頓原町のもので「100%島根の食材」という。
鶏がいっぱいごはんの上にのってて、鶏好きの私としては大満足。野菜もいい味で食べやすくて美味!出雲・松江っていいところ!と思いましたです(食は文化)。

満腹になったところで八重垣神社に到着。神話「八岐大蛇(やまたのおろち)」で、大蛇を退治したスサノオノミコトと助けられたクシナダ姫が新居を構えた場所であることから、縁結びの神社として知られているそうな。
スサノオが新居を求めてこの地に来たときに歌ったのが「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」という歌で、ここから「八重垣神社」の名前が生まれ、そしてこの歌は日本初の和歌という。歴史って深い…。

八重垣神社。若い女の人とか若い家族とかが多かった。縁結びの神社で、子宝祈願も出来るそうだからですかね。一人で来てる私は何かすごく必死っぽい?(一日に何度縁結びを祈願すれば気が済むのか。神様も呆れるよ!笑)。でも実際必死なので(乙女ですから)縁結び祈願。

本殿の後ろの森にクシナダ姫にちなんだ縁結び占いが出来る池があるということで、そちらに行ってみる。

5分くらい歩いていくんですが、途中に結婚式場なんかがあったり。スサノオノミコトとクシナダ姫の新居だもんなあ…。おまけに「古代結婚式発祥の地」だそうで、こういうところで結婚式挙げたらずっと幸せでいられそうだなあ、とか思ったり。

手が痛くなるほどの寒さ、みぞれのような雨のようなものが降るなか、神社裏にあたる森の中へ。高い杉の木が天蓋を作っているような静けさ。

静かな、何処となく古代の気配がするような森の奥に、クシナダ姫が鏡代わりに使っていたという鏡の池が。
静かな張り詰めた空気、澄んだ水、ここもまた間違いなく神域だなあ、と自然に背筋が伸び、息使いにも気を使ってしまうような。

鏡の池の占い。神社で貰った和紙に硬貨を載せて、池に浮かべて、それがどのくらいの時間で、どこらへんに沈むかでご縁を占うというもの。15分以内に硬貨が沈むと早くに縁があって、自分から離れたところに沈むと遠くの人と縁が、近くに沈むと身近な人と縁があるということになるそうで。
どきどきしながら、10円玉を和紙にのせてそっと池の水面に。澄んだ水の底に今までに占いをやってきた人の和紙があわあわと沈んでて、10円玉や枯葉の茶色が見えて、不思議な紋様のように見える。

和紙が水についた途端、こんな文字が浮かび上がってきてびっくり。この和紙ですでに占いというか託宣があるんだ。それにしても「信念をもて 願いかなう」って嬉しいな。強く頑張ろうとそっと心に誓ってみたり。

風もない静かな水面なので、全然変化がない。微妙に、わずかに左側に滑っていくような。じーっと眺めていると、ふと10円玉の周りにじわじわ滲み出し、まるで水が湧くように和紙の上に広がって溢れて、すうっと池の底に沈んでいきました。何だかすごく不思議なものを見たような気持ちでしばらくぼーっとしてたけど、我に返って時計を見てみたら約4分。縁は早い?縁は早い?(超わくわく。笑)。

雪が降ってきました。風もあるので軽い吹雪って感じ。何か大河ドラマのワンシーンみたい。

ってしかし雪がどんどん強くなってきて寒い!サイクリングしようかな、とかのんきなこと考えてたけど無理!遭難してしまう!ということで松江駅まで帰ろうと思ったら、バスが45分後…!いや本当に遭難気分になってきた…。どうしよう…。バスの待合室(ていうかバス停の周りに囲いがあるだけ…寒い超寒い)でしばらく待ってみたけど、どんどん雪が強くなってくるし、寒いし。…ええいもう歩く!大通りまで出ればバスかタクシーあるはず!もう歩く!

というわけで歩くことに…。一人歩きならではの無謀さというか楽しさというか…(ウフフ)。横殴りに吹雪いているなか、黙々と歩いて、でもだんだん何か雪中行軍が楽しくなってきたような(しっかり。笑)。15分くらい歩いてたら大通りに出て、まさにちょうどバスが、松江駅行きのバスが来たので助かった!(本当に)。神様のいる国だなあ、悪いことは起きないよ!とか何だか嬉しくなったり。
バスに乗って、ようやくいかに寒いところにいたのか、感覚が戻ってきてぐったりしましたが、とりあえず松江駅へ。

続きます。


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