11月21日(土)
6時起床。しんしんと冷え込むけど、いい天気で気持ちがいい。
朝ご飯は食堂でバイキング方式。自分の好きなものを好きなだけ好きなように選んで、ちょっと眠たい気持ちで食べる朝食の贅沢さ。旅の楽しみのひとつです。

旅館からちょっと歩いたところに義経の妻子の墓があるというので観に行ってきました。
云われないとわからない場所に、すごくひっそりと佇むお墓。静御前が有名で、どうも義経妻子って目立たない感じですが、鎌倉から遠く平泉まで歴史の流れに連れてこられて、24歳という若さで夫の手で人生が終わり、そして今はひっそりと眠っているというのが、何かすんごい切ないことのような、歴史の流れから解放されてようやく手に入った平穏な、救いなのかな、とか色々考えてみたり。

その後毛越寺へ。藤原清衡が浄土を再現しようとして作ったという、今は殆ど遺っていない「浄土庭園」。彼の生い立ちというか人生を考えると、浄土をこの平泉に作りたいと願ったことってすごく切実な、切ないことだなあ…。政治的な思惑ではなく権政欲ではなく、本当に悼みたい、心からその魂が癒されて欲しい人がたくさんいたんだろうなあ…。
遺された庭園が綺麗なだけに清衡の祈りの強さが感じられるような。

朝一番開門と同時に入ったので、人が全然いない。すごく静か。静謐。静かで明るい光に、芝生に降りた朝露がきらきらしてて、池が鏡のようで。写真で見てたときには「浄土庭園?」とか思ってたけど、ああ確かにそうなのかも…。

遺っているお堂や跡などを見ながら池の周囲をめぐる。何だか深い森にいるよう。

紅葉。澄んだ冷たい空気のなかで、ますます鮮やかに美しい。目が惹きつけられる。

地蔵像と後ろは曲水の宴をやるところ。

静かな、時の流れを感じる。

な、何だ!?と思ったら曲水の宴で使う竜頭の舟が待機中。

入り口のお土産屋さんで売っていた「願いごとを叶えてくれる義経」。白い紙に祈願を書くそうで。兜の素朴な形が何となく奥州っぽいのに、胸にあるのが竜胆(鎌倉の紋)というのが何だか切ないような。ここは本当歴史の流れの静かなところ。
それにしても来年の大河ドラマもあるし、義経大忙しですな。

東北本線で花巻へ。宮沢賢治のふるさと。そこかしこ、ベンチや街灯の飾りにふくろうや猫や銀河鉄道、セロがあって、本当宮沢賢治の街だなあ。
下の写真は花巻駅前にあるベンチの背にいたかえるのオブジェ。他にも猫とかふくろうとか、銀河鉄道の壁画とかあったけど(カンパネルラの表情がちょっと怖かった…。笑)このかえる、何だかとっても可愛い…。カイロ団長なのかな。


でも花巻市内にある「賢治の広場」は何かちょっと違う…?って感じでしたけど…。何か、手作りの人形とかで宮沢賢治ワールド再現してたりするんですけど、何かちょっと違う…。「みなさんが賢治さん」というコーナーがあって、賢治さんが着ていたのと同じ黒いコートと帽子、トランクを身につけて記念写真撮れるというコーナーは楽しかったです(でも私がやったら変なメーテルみたいでしたよ。笑)。

バスに乗って(そのバスの路線とか時間とかよくわかんなくてうろうろしましたが)、宮沢賢治記念館、童話村へ。山のなかで、しんしんと静かなところ。
バス停の前の「なめとこ山」というそばやさんでなめこそばを食べました。

食べ初めてから、あっ写真撮ってなかった!と気付いたので、食べ途中です…(笑)。寒いのであったかいおそばが超しみる。超美味しい。

宮沢賢治記念館ってバス停から徒歩500メートル、しかもえんえんと山のぼり…。「宮沢賢治記念館前」というバス停だからもっと近いかと思った…。かなりきつい山道でした…。
しかし枯れた静かな冬間近な森。久し振りに自然のなかにいる、という感じで、心休まるというか楽しいというか、疲れたけどいい心地でした。

賢治記念館前の「よだかの星」碑。

賢治記念館は賢治の広場とは違って(失礼)本格的というか学術的に宮沢賢治という人の生き様、世界観、研究してきた内容を丹念に、見やすく親しみやすく展示してあって、覚えていたこと、改めて知ったこと、色々あって面白かったです。勉強になりました。
賢治さんの小説に出てくる鉱石について、本物が展示してあったのが興味深かった。イメージとか写真とかで「こういう感じのもの」と思ってたのとは結構違ったり。天河石って初めて本物みました。緑がかった、不思議な風合いの石ですね。あと玉髄も緑っぽい石だと思ってたけど、どちらかというとトルコ石っぽい感じなんですね。

賢治さんは、特に晩年、本当に一所懸命色んなことをやって、それで命を縮めたという感じで何だか切ないなあ…。農業や研究だけでなくエスペラント語、タイプ、セロの勉強やってって、本当すごいなあ…。献身的というか本当に誰かのために身を捧げて壊れるほど頑張って一所懸命だったんだなあ。静謐で、一心で、情熱的で、どこか硬くて寂しい感じがする。貝の火のような、燃えていつかは壊れてしまう綺麗な石のよう。

山を降りて、その途中にイーハトーブ館、ポランの広場などを通り、宮沢賢治童話村へ。こちらは割と子供さん向けって感じで、でも賢治さんの世界のイメージを作ろうとしているところも十分に感じられて結構いいなあと思いましたです。自分のなかに賢治さんとその世界のイメージがあるのであんまりビジュアル化されたくないような気持ちもあり、あんまり商業ベースなものも見たくない、というわがままな気持ちがあったけど。

下の写真はやまなしの碑。

花巻?新花巻??とか混乱しながら(新花巻のほうが新幹線着く駅なんですよね…し、知らなかった…)バスで本日の旅館のある花巻温泉へ。

が、しかし花巻温泉のさらに奥に「台温泉」というところがあり、旅館はそこにあったのでした…。で、でも旅館には「花巻温泉」って書いてあったのに…!歩くには暗いし寒いし、ていうかかなり結構距離あるということで、旅館の人に迎えに来てもらいました…。す、すいませんありがとうございます。

花巻温泉は開けた、というか近代的な広々した一大温泉場って感じですが(ちょっとした街っぽい)、台温泉は昔ながらの湯治場って感じ(自炊部もあるそう)。山の間に旅館が軒を連ねてて、鄙びた静かなところ。何だか人里離れた静かな隠れ家な雰囲気。
旅館も昔ながらの旅館の雰囲気。時代劇で使うみたいな肘置きとか(やたら漆っぽいつやつやこてこてした装飾)行灯とか旧型テレビとか懐かしくていい感じ。旅館の人もアットホームで親切でくつろぐ。

夕飯は旅館のロマン「部屋でお膳でまったり」ですよ!目に美しく舌にも豪華。今日のお膳はてんぷらも普通で(笑)、茶碗蒸しも美味でした。
山の中だけど、海のものが美味しい。刺身とか。さすが東北岩手…。

そしてメインディッシュ。前沢牛のしゃぶしゃぶです!(ばばん!)旅館のお部屋でお膳でまったりしゃぶしゃぶ…幸せすぎる…。国内旅行の素晴らしさですねえ!

その後は温泉!今日は露天風呂ですよ。温泉のある本館にはこんな炉辺もあったり(泊まっている部屋は別館)。

露天風呂も綺麗で風情があってよかったです。ごつごつの岩に頭を乗せてだらーっと仰向けになると、檜の屋根と柱の間から月が見える。時々さーっと冷たい風が流れてもうもうと真っ白い湯気が月にかかったり。冬枯れの枝、薄ぼんやりと湯けむりに隠れる月。東北の、山の奥の、静かな静かな冬の夜。時間を忘れる…。

ぽかぽかになって部屋に戻ったら布団が敷いてある。ああん旅館っていいなあ!(またごろごろ)窓を開けたら体中をぴったり包むような冷たい冷たい空気、目の前に迫る山が影になって月がかかる空は紺がかった色に見える。月が本当に明るいなあ…自分の息が作り物のように真っ白に何処までも消えずに流れていくなあ…とずーっと口をあけて外を見てたらすっかり冷えたので(ばかですね。笑)、今度は別館1階にある内湯に入りました。ちょうど誰もいなかったのでまったり温泉堪能。でも何かこのお風呂、やたら深くて、私でさえ(身長167センチ)腰をつけて入ろうとすると口がお湯につかってあっぷっぷになってしまうという。でも正座すると上半身出すぎになるし…。あっぷあっぷしながらゆらゆらつかってました。微妙な不安定さだけど首までつかるからあったまるなあ…。いい気持ち…。

あったかくなって部屋に戻ってまったり過ごして就寝。ああ旅館で過ごす夜はいいですねえ…。

明日は最終日、花巻市内観光です。続きます。


→投薬カウンセリング

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送