2003/05/17

朝5時半起き。天気がよく、夜ほど寒くない感じでいい感じ。あっというまに札幌を去り、今日は稚内まで行きます。
7時45分発の飛行機に乗るため7時前にホテルを出たので、朝食食べられず…。残念…。ホテルの朝食バイキングって好きなのに(いかにも旅行に来たって感じがするので。昨日の楽しい思い出と疲れと今日の楽しみでけだるくもわくわく楽しいあの雰囲気、よりどりみどりで好きなものを好きなだけ食べられるのも好き。笑)。
稚内で美味しいものを食べよう…必ず食べよう…と決意する朝の札幌駅前(笑)。

夜見たときも綺麗でしたけど、朝見ても綺麗な札幌駅前。今度はもっとゆっくりじっくり遊びに来たいです。

札幌駅前から30分ほどバスに乗って丘珠空港へ。途中旧道庁(威厳があって、でも懐かしい感じがする建物。やはりここにも赤い星がついてて、札幌だなあ…としみじみ)を見たり、地面で溢れるように咲いてるたんぽぽを見たり、こっちではとっくに葉だけになっている桜が満開なのを見て、ほわっと嬉しい気持ちになったり。

札幌の空港といったら千歳しか知らなかったんですが、市内からこんなに近くに空港があるなんて初めて知りました。稚内空港へ行く線と小樽に行く線があるそうで。北海道広いですもんねえ…と改めて感動しました。

乗った飛行機はセスナ…?飛行機に詳しくないのでよくわかりませんが、定員100名いないのでは…という大きさでした。搭乗口から歩いて階段使って乗り込むというのも何だか新鮮な気持ちでした。

丘珠から稚内まで約40分のフライト。雲が多かったですが、山が雪で白いのが見えました。まだまだ春の浅い季節なんですよねえ。稚内は北海道のなかでも北ですし。場所だけでなくある意味季節まで普段とは違うところにいるんだなあ…。旅行ってこういうところが面白いなあ、いいなあ。

8時35分稚内着!割と小さい空港。遠くに風力発電の白い大きな風車が見えるのが北海道ならではって感じがしました(土地が広くないと出来ないから)。またしても自分で階段降りて搭乗口に向かうのですが、寒っ!札幌の夜よりも寒くてびっくり。見たら気温5度でした。寒いはずだ…(びっくり)。

空港前からタクシーに乗って(ていうか他に交通手段がない…。笑)最北端の地・宗谷岬へ。海岸線の広い真っ直ぐな道路。いつまでも続く電線。網や船、ブイが置いてあるのが時々見えて、時々建物があって、でも基本的に道路と海がずっと続いているところ。曇っているので特に冷たく、何処か物悲しそうにも見える風景と海だけど、遠い違う国に一番近い海と街でもあるんだなあ…。いわゆる内地には想像もつかない驚きや豊かなもの、そして大変さや厳しさがあるんだろうなあ。じっと風景を眺めながら、自分がここに住んでたら何してるかな、とかとりとめないことをつらつら考えてました。

30分ほどで最北端の宗谷岬到着。日本で一番北、私の人生の中でも今のところ一番北の場所でもあるんですよねえ。何だか実感わかないけど、でも何だかすごいだと思う…。どきどき。

最北端ということと、北(N)をデザインしたという最北端モニュメント。ちょっと何かの慰霊碑のようにも見えますよね…(す、すみませ…)。

モニュメントの向こう、何処までもフラットに広がるオホーツク海。本当に空と海が接して途切れがない。何処までも何処までも。晴れていれば見える樺太は見えませんでしたが、何だかもうその広さに胸を打たれました。何処までも海が続いているけど、でももう別の国になっちゃうんだなあ…。

海に近いこともあって、体がすくむほどの寒さでした。割と風も強かったですし。最北端ということを体で感じられ、震えながらも満足です(笑)。

この地から樺太測量へ旅立った間宮林蔵の像。ちょんまげに着物、藁で作ったかんじきなどの防寒具。何があるか予想もつかないところへ旅立つということ(もしかしたら何もないかもしれない、行くことは出来ても帰ることが出来なくて、自分が旅立ったこともその意味も誰も知らないままになるかもしれない)のものすごさ、途轍もなさ、想像だけでも息をこらしてしまうようなものすごさ。間宮林蔵が自ら選んだ墓石を用意して旅立ったということを、教科書で読んで知ってはいましたが、その意味の重さ、切実さがようやく(ほんの少しですが、想像ですが)わかったような気がしました。

前に立つとセンサーで自動的に「宗谷岬」が流れる(流氷溶けてー春風吹いてーの歌)モニュメントを見てから、最北端のモニュメントを見下ろす高台にある平和公園を散策。大韓航空撃墜事件の慰霊碑や日露戦争のために建造された旧海軍望楼などを見ました。

広い海、なだらかな高台、穏やかな草原。そういうなかで「領海」や「領空」なんて何だか意味がないような気さえするのに、それにまつわる悲しい歴史が色々あって今も続いてたりして、やるせないような気持ち。

写真が旧海軍望楼。細い頼りない鉄板の階段を登って頂上から見下ろしたら、最北端のモニュメントも遠く下のほうに小さく見えました。視界いっぱいの空と海。冷たい空気。領空も領海も何も見えないのに。でもここにいた人たちは本当に必死に、怖い思いも心細い思いもたくさん抱えて、それでも背後に守るべきもの(国とか家族とか)を背負ってこの海に向かってたんだなあ…。そういうことをしなくて済むようになったのはやっぱり平和ってことで、やっぱりいいことだと思ったり…。

黒い宗谷牛が放牧されているなだらかな広大な牧場の頂上に風車のついた(何故かオランダのような…)レストハウスがあったのでそこを目指して坂道をのんびり歩いていきました。
広い広い草原みたいな牧場の間、何処までも何処までも伸びていくような、でも解放感のある坂道。振り返ると少し晴れてきて、海が明るく青く澄んでいくのが見えました。

そして最北の地で朝食。レストハウス(「宗谷岬」がエンドレスで流れている…。笑)でホタテらーめん(醤油味)を食べました。さっぱり醤油味のスープにホタテのうまみが出ていて美味しい。窓の外の宗谷牛と時々目が合ったりする席で夢中で食べてしまいましたです。
美味しさもですが、最北の地で食べたぞ!ということに満足です。

満腹であったかくなりながら、海を見下ろしながら坂を下って、お土産やさんを見て、最北端到達証明書を買って、流氷館を見学しました。流氷館ってでも冷凍倉庫みたいなところに流氷がごろごろ置いてあって、キタキツネとかあざらしとかの剥製が置いてあるというだけでした…。確かに流氷だけれども…みたいな(笑)。

それからタクシーで稚内市内へ。晴れて青く澄んだ海と空の横を走る道。ときどきうたたねしながら稚内到着。
稚内駅のバスターミナルから今度はバスに乗って、ノシャップ岬に行きました。バスは普通に地元の人が使っているバス。10分くらいでノシャップ岬のバス停到着。海の匂いとうみねこの鳴き声が聞こえて、海の近くだというのはわかるのに海が見えずに不思議な感じ。いつ海が見えるんだろう、どんな風に見えるんだろう、とどきどきしながらしばらく歩いてノシャップ岬。

晴れていれば利尻島が見えるそうですが、今日は見えなくて残念でした。波打ち際まで降りられるところがあったので、寒いけれどそこに座って海を眺めていたら、一瞬心が空白になるというか動きがふっと止まるような感じがあって、ただひたすら海だけをぼーっと眺めていました。時間の感覚とかなくて、目の前に何処までもフラットに広がる海があって、その上から流れてきたつめたい風が吹き付けてきて、空と海が接する部分が青くて透明で、フェリーがゆっくり横切っていって…というのが感情をまるで伴わないただひたすらの光景として心に流れ込んでくる、圧倒的な感じ。
はっと我に返ったら15分くらい経ってて自分でびっくり…。でも何だかしゃっきりしたようなリフレッシュ感がありました。北海道の持つ力かしら…。

すぐ側にある水族館を見て(クリオネを初めて自分の目で見ました。写真で見てるよりも小さくてびっくりでした。そして写真で見ていると「天使…?」と思ってましたが、透き通った体、ひれの揺れ方、動き方が本当に天使と言いたくなるような感じでした。感動)、北海道生クリームを使ったソフトクリームを海岸線をぶらぶらしながら食べました。寒かったけど、冷たくて甘くてクリーミーなソフトクリームは美味しかったです。幸せ。

バスで稚内駅前に戻って、特急サロベツに乗車。駅前で買ったかに弁当(北海道ですから!)とサッポロの北海道限定冷醸生という発泡酒(北海道ですから!)を電車の中で食べました。

作ってもらったばかりでまだ温かいごはんの上にかに、いくら、錦糸玉子がのっているかに弁当。ていうかかににごはんが覆われているようなボリューム。さすが北海道は稚内。ふんわりやわらかく、でも新鮮なかにが美味しくて、発泡酒も美味しくてしばらく電車の外を見ることも出来ずに夢中になって食べてました(笑)。

約45分電車に乗って、豊富駅到着。ここからサロベツ原野にいきます。が、駅前から交通手段がない。私としてはバスに乗っていくつもりだったんですが、バスが1日2本、しかもその2本目もすでに出てしまっているという…。まだ2時半なのに…。どうしよう、タクシー呼ぶしかないのかなあ…と思ってたら、駅の観光案内所の人が「貸し自転車ありますよ。40分くらいかかりますけど」といってくれました。40分か…最近全然自転車に乗ってないので40分も乗れるのか、乗って行って帰ってこれるのか…と激しく不安でしたが、次の電車まで3時間あいだがあいているので、もう行くしかない。北海道だし!冒険をしてみるべき!(何で)

というわけで自転車を借りてサロベツ原野へ出発。道は広く、遠く、平らかに。空も高く明るい。左右は何処までも広々とした草原、たまに牛舎など。牧場というと思い浮かべる牧草のロール(?)があったりして、ああ北海道だなあと感動してみたり。目の前はひたすら遠近法で続く道路。行き交う車も殆どなく、広い景色のど真ん中って感じの道路のさらに真ん中をひとりいい気持ちで自転車で走ってました。

軽やかに力強くひたすら道路の先を目指して自転車こいでると、風が真正面からぶつかってきて、耳元で風の音がする。そのとき私は耳の調子があまりよくない状態だったけれど、吹き付ける風が耳に触れて音を立てるのが聞こえるし、わかる。感じる。私が走っている限り、感じる。そのとき、不意に強く心に思ったのは、色んなことを体験しておきたいなあ、この体でということでした。あまりいい状態ではなくてもこうして動いていれば感じるものがあり、それは経験として感覚として私の体の中に残り、いつか本当にだめになってしまって動けなくなっても、動いた、というこの記憶が私を救うような気がする。支えに出来るような気がする。

人生のマイレージをためたい。飛行機で色んなところへたくさんの距離を飛べば飛ぶほどたまるマイレージ、それにみたいに色んなところに行ってたくさんの距離を動いて、色んなものを見たい、覚えていたい、感じたい。そういうものをたくさんためて、これからの人生を豊かにしたい。そういうことを強く強く思いました。行きたい、行かなくては。前に。もっと遠くに。いろんなところに。自転車をこぐ動きのように、心が駆り立てられるように強く思いました。

サロベツ原野まで5キロ…!わー!(思わず声が出ちゃう)。本当に遠近法ってあるんだなあ!さすが北海道だなあ!

北海道は今が春の始まり。まだ乾いた枯れた感じが強い道路わきの草原ですが、そのなかに少しずつ芽生えている鮮やかな緑、綺麗な水芭蕉。一斉に萌え出す前の息を潜めた、でも確かな生命力みたいなものを感じました。
それにしても水芭蕉ってこんな風に草原の中に咲いたりするんですねえ。尾瀬のイメージで水辺に咲いてるとばかり思ってました(サロベツでも水辺の水芭蕉は咲いてましたけど、一番多く見たのが草原に咲く水芭蕉でした)。

そしてこぎにこいで本当に40分、サロベツ原野のレストハウスに到着。自転車降りたらさすがに足が生まれたての仔鹿のようにがくがくしてました(笑)。つ、疲れた…。とりあえずレストハウスで休憩ということでまた食べる私(行き先々で美味しいもの食べないといけないという使命感に燃えている)。
サロベツ牛乳とサロベツ名物という揚げじゃがいも。窓の向こうに広がっているのがサロベツ原野です。何て雄大な、贅沢なおやつ。

原野の中に橋のように遊歩道が渡されているので、そこをゆっくり歩いて散策。足元に広く平らかな原野、空は晴れて高く。風景が大きく迫るような、逆に遠く放りだされているような。声を上げて端から端までぐるぐるごろごろ転がってみたいなあなんて思ったり(壮大な…。笑)。

季節によって、そして大きくみて時代によってゆっくりとくっきりと姿や性質を変えていくという原野。自然は生きている、人間とは違うスケールと時間のなかで生きているんだなあ…。無意識に呼吸が深くなるような気持ちがしました。

帰り道は自転車に慣れたせいか、行きよりもすいすいと進みました。疲れてるかと思ったけど、追い風もあって軽くすいすいと。

広い、ただひたすらの草原を横に見ながら走っているうちに何かどうにもこうにも気持ちが惹かれて止まらず、思わず道路から土手をがーっと自転車で駆け下り、自転車から飛び降りて、草原に飛び込んじゃいましたですよ。わーとか声出して。衝動のままにごろごろ草原に転がって。仰向けになったら目の前に押し迫るように青い空が広がってて、傾きかける太陽の光がいっぱいに差し込んで眩しくて、目を開けてられないくらいで。でも本当にこんなにいっぱいに広い空を初めて見たので目を閉じるのが惜しくて。背中には力強く繁った草の感触と大地の感触があるのに(何処かあたたかいような感じすらする)体がぽっかり何処かに放り出されたような心地になりました。それからうつぶせになって、もう1回仰向けになって、起き上がってみたら自分の膝元から真っ直ぐの目線と同じくらいの高さまで草原が続いているという。何かもう言葉をなくしてしまいました。広いなあ…。

すごい解放感にちょっと呆然としつつ豊富駅に到着。行きは40分、帰りは30分くらいのサイクリング(というには結構ハードでしたが。笑)でした。17時33分豊富駅発の特急スーパー宗谷に乗って、いよいよ友達の待つ音威子府へ。

電車から見える風景。夕暮れゆく光に満ちた、広い広い草原。あるいは牧場。ときどき畑。林。家や道路は見えるけど、人の姿は見えなくて、不思議な感じ。ぼんやり眺めているうちに疲れも出てきてうとうとしてみたり。でもそんな状態でも、手塩川はインパクトありました。川幅が広くて平らで、でも流れも見えて、水がとても深そう。山のあいだに深く、ゆったりと流れて澄んでいて、まるで綺麗な神秘的な大きな生き物の姿を垣間見たような気持ちになりました。

18時49分音威子府駅到着。友達が既に待っていてくれました。久し振りに会った友達は日に焼けてちょっと痩せてて精悍というか逞しいというか自然体というか、とにもかくにも元気そうで何より。飛びつきたいくらい懐かしく嬉しかったけど、でも何か気恥ずかしくて照れくさくてぐるぐるしてました。現実感わかないような、別に普通の自然なことのような。変な感じ…(笑)。

音威子府駅前の旅館に宿泊。旅館というか合宿所のような感じでした(笑)。ご飯とかお風呂とか普通の家っぽいし。べこべこした琺瑯のやたら広い洗面所。やたら注意書きが貼られたトイレ。古い畳、コイン式テレビの和室。合宿っぽい…(笑)。懐かしい感じ。

お酒飲みながら友達と色々話してたらあっというまに時間が経って、あっというまに眠くなってしまって、11時くらいに眠ってしまいました。今日は色々あったなあ…。でも友達と会えてよかった、元気そうでよかった。北海道に来てよかったと思いました。


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